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ハロウィンタウンRPG――悠久剣士

ハロウィンタウンRPG05 ホモ疑惑があるそうです

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『ハロウィンタウンRPG』

 ゲームは一年半前、北米のIndiVER社のオンラインゲーム部門が、今までにないMMORPGと称して世に送り出した。同社は、MMORPGの後発組であり、それまでの出遅れを取り戻すために、画期的なルールを世界各国のゲーマーに提案してきた。

「MMORPGは、自由度が高く、何でも出来ると言われてきましたが、果たしてそうでしょうか? 国や運営会社は、道徳、法律、価値観を押し付けて『するべきじゃない』『してはならない』『こうあるべきだ』とプレイヤーの行動を規制しています。我々の『ハロウィンタウンRPG』は、完璧なる世界を構築するため、厳しい倫理規定を設けることを致しません」

 同社は、サービスを提供する国の法律で規制されない行動は『ゲーム内の規制対象としない』とし、さらにRPG(役割を演じるゲーム)の性質上、それが殺人であれ、強盗であれ、PKという殺人者の役割を認めており実質犯罪も黙認された。名目上、国の法律に従うが、犯罪者という役割の存在も認める。

「カオスだ・・・」

 MMORPGの経験者たちは、同社の発表を聞いてハロウィンの自由度の高さが、ゲームの枠組みを超えたと直感した。同時に、そのようなルール無用のMMORPGが、ゲームになるのか? そんな疑問も囁かれた。ハロウィンを取り巻くゲーマーの反応は、様々だったが、話題性だけでいえば、クローズドβテストの参加者募集二千人に対して、応募者二十万人が殺到したので成功と言える。

 肯定的な者、批判的な者、彼らは、興味を抱いた物にどん欲だ。

 βテスターの二千人は、ハロウィンでの経験を「本当に、何でも出来た」と騒ぎ立て、それが落選者にますますの興味を抱かせた。とくに興味を掻き立てたのは、ステータス『愛』。キャラクター同士でイチャイチャして、ステータスを向上させるシステムは、それまで禁忌(タブー)とされてきたバーチャルセックスを解禁したからだ。
 通常MMORPGでは、キャラクター同士のチャットエッチのような行為をセクハラ行為とし、その猥褻な発言に関しては、自動で伏字に変換される。酷い運営になると、それらを繰返すプレイヤーのアカウント停止(追放)する。セックスは、人間の根源的なコミュニケーションにも関わらず、排除しているのが現状だ。
 
 ハロウィンは、人間の営みを最も再現できるMMORPG、人間の欲求を満たすことの出来るMMORPGと多くのプレイヤーが集まった。同時に、プレイヤーの男女比率の極端な差が、ゲーム内での悲劇を生むことになる・・・それは、のちほど。

 ※※※

 高校の最寄駅に着くと、月のクラスメートが手を振って、彼女をグループに招き入れた。昂は、妹と繋いでいた手が、一層に冷たさを増した気がした。昂と月の恋人ごっこは、悪名高い〇京線を降りると終了した。

「おすッ!」

 昂の後頭部に鞄をぶつけてきた田中高志(たなかたかし)は、彼の高校で唯一の『友人』と呼べる貴重な存在だ。彼は、他人とのコミュニケーションが得意ではなく、積極的にクラスに溶け込もうともしなかった。そもそも幼い時より同学年にいる優秀な妹と比較され、存在感の薄かった彼は、高校進学と同時に、それまで無理矢理に培ってきた友人達と縁が切れ、解放感が大きいことに気が付いた。
 昂は、最低限の談笑と情報共有が出来る友人(ツール)があれば、必要以上の友人が重荷になると知ってしまった。高校二年生にして無情を感じた彼は、自分が壊れた人間だと自覚し、それを周囲に悟られないことだけ長けていた。

 一見して普通の男子高校生は、『普通』を演じるRPGの登場人物(プレイヤー)でしかなかった。

 背が高く体格のしっかりした高志は、茶髪でバイクを乗り回し、一重の鋭い目つきで損をすることが多かった。彼は、その容貌からクラスの何処の派閥にも属せず、結果的に逸れ者同士となった、出来の悪い星崎とつるむ様になった。
 昂は、ハロウィンでも現実世界でもソロプレイヤー仲間として、高志との距離感を保っている。彼らは、二人で並んで歩いていても常に独演者(ソリスト)である。

「ハロウィンの掲示板みたけど、朝まで何やってたんだよ?」

 昂は、隆の不意の一言に血の気が引いた。アキラとの行為が、掲示板に晒されたと勘違いしたからだ。男である自分が、男性キャラに朝まで抱かれていたとは、絶対に知られたくない秘密だ。

「あのスバルが、城下街の近くで、PKみかんkissと対人戦していたと騒ぎになってるぞ」
「なんだミカンとのバトルのことか・・・何で騒ぐんだ?」
「スバルと言えば、最短でレベル上限に達したハロウィンの英雄(ヒーロー)なんだよ。それが初心者が集まる南部の城下街で、中華PKと戦ったとなれば話題にもなるさ」
「だから、俺がミカンと戦ったくらいで、話題になる理由は?」

 高志は「ヒーローが悪人を退治した」と理由を説明したつもりだったが、自分の影響力が理解できていない昂に、何を言っても無駄だと思った。
 既に幾つかチームは、スバルがPKK(プレイヤーキラーキラー)をはじめたと誤解して、今朝ほどから南部地方のPK討伐隊を編成している。PKKとは、初心者などから金品を強奪するPKを専門に殺す行為を指す。
 最高レベルのスバルは、各チームがこぞって欲しい戦力(人材)。喉から手が出るほど欲しい戦力が、南部地方でPKKをしているのなら、チームでサポートして彼女の点数を稼ごうというのだ。

「昂のキャラって、お前の妹に似てるよな・・・」
 高志は、目の前を歩く月の横顔を見ながら言った。
「基本的には、俺自身の顔に似せてるけど、兄妹だから月に似るんだろうね」
「昂は、シスコンなんだよ」
「俺がシスコン?」
「だって、いつも手を繋いで仲良く登校してるじゃん?」
「兄妹だよ、馬鹿みたいなこと言うなよ」

 昂は、妹に恋愛感情を持ったことなどなかったが、性の対象とならない妹の月を、神聖な存在として考えるときがあった。ほかの女の子は、性の捌け口として汚すことが出来るが、妹だけは、どんなことがあっても汚すことが赦されない。妹の月は、彼にとって神聖。ただ、その一点でシスコンと呼ばれたのなら、認めるしかなかった。

 ※※※

 教室では、既に大勢の生徒が登校しており、思い思いの格好で談笑していた。昂と高志は、窓側の中ほどにある昂の席に集まって、ハロウィンの話で盛り上がっていた。

「いつになったらレベル上限が解放されて、また熱いバトルが出来るのやら」
「高志は、まだレベル上限じゃないだろう?」
「いやいや、昂のメインが稼働しないと、俺のタカCがレベル上がらないじゃん」

 高志のキャラは、男剣士の『タカC』で、昂のメインキャラに狩りを手伝ってもらっていた。今は、昂がサブキャラを育てており、タカCのレベルを上げる手伝いがしてもらえない。レベル上限が解放されれば、またレベル上げる手伝いがしてもらえると思っていた。 

「まぁサブがLv40になって、二次転職が可能になったらメインに戻るよ」
「そういえば、サブも格闘家だろう。二次転職もメインと同じカンフーマスターにするかよ?」
「なんで同じ職業のキャラを二人育てるんだよ。サブは、二次転職で気功師にしたいんだ」

 ハロウィンでは、初期の職業からLv40で二次職が枝分かれする。同じ格闘家でも、二次職により『カンフーマスター』と『気功師』のような選択が可能になる。体術を得意とする昂は、メインのカンフーマスターと、サブの気功師を使い分けて、ゲームを愉しもうと考えていた。

「レベル1上げるのに、一日以上かかるゲームで昂は、よく同系列の二巡目をヤル気になるね」
「同系列だと装備の着回しが出来るから、効率が良いんだよ」
「なるほど効率重視ですか・・・ではでは、スバルの戦績でもチェックするかな」

 高志は、携帯電話でスバルの戦績を表示させると、スバルLv80女カンフーマスターの装備に『閃光のドラゴンロッド(攻撃力5000)』があることを確認した。
 彼女の装備している『閃光のドラゴンロッド』とは、ハロウィンに5個しか存在しない『伍龍武装(チート級の武器)』の一つで、レアドロップの最高峰『ハーケンロッド+5(攻撃力3500)』を凌駕する武器だ。
 昂のメインキャラは、伍龍武装の強奪を企むPK、彼の戦力を欲する戦争屋(チーム)などに常に狙われていた。

「けどさ、絡まれるのが面倒臭いのなら、伍龍武装を手放せばいいじゃん? わざわざサブキャラ育てて、せっかくのメインと超レアアイテムを保管しておく意味あるの?」

 高志の言うとおり伍龍武装が面倒の元なら、それを放出してしまえば絡まれずに済む。だが閃光のドラゴンロッドは、誰よりも早くレベル上限に達した昂の勲章みたいなもので、なかなか手放し難い。それに簡単に手放しては、伍龍武装を巡って争ったライバル『ポンカン飴』にも申し訳ない。

「ポンカン飴は、スバルに負けてゲーム引退したって噂じゃないか。引退した奴に、義理立てする必要なんてないよ・・・俺に伍龍武装をくれッ!」
「俺と一緒に始めたのに、ナンパに明け暮れてLv55止まりの剣士が、装備出来ない伍龍武装をもらって、どうするんだよ?」
「ナンパアイテムにするッ! 伍龍武装をエサに、可愛い幼女(ドワーフ)を自室に連れ込んでレイプするッ!」
「・・・」

 高志は、昂の冷たい視線に冗談だよと笑ったが、伍龍武装をエサにすれば、何処のチームでも幹部待遇で迎えてくれるし、女の子だってホイホイ付いてくるだろう。それだけ、ハロウィンで5個しかない超レアアイテムは、プレイヤーたちにとって魅力的なのだ。

「そんなことよりも・・・サブキャラの戦績を見ていて、面白いことに気が付いたのですが・・・ずいぶんと経験値が上がってますね」
「昨晩は、初心者たちと『蠍の草原』で狩りしただけで、そんなに経験値稼げなかったよ。最後は、朝までペア狩りで効率悪かったし、おかげで徹夜だよ」

 昂は、大きな欠伸をしながら眠たい目を擦った。

「鉄の処女スバルがペア狩りですか・・・自室で?」
<自室でペア狩り?>
「徹夜の原因は、戦績SEX1回が物語っているねっ、ぷぷぷっ」
「な、なんだSEX1回って? そんなこと戦績で公表されんのかッ!」
「ぷっ、ちょっ、おま、そんなことも知らなかったの? ぷ、ぷぷぷっ」

 高志は、込み上げる笑いを必死に抑えていたが、赤面して慌てる親友に、教室の誰もが注目するくらい大声で吹き出した。
「ひぃぃぃぃい、腹痛てぇぇぇえ~よ、おま、徹夜でゲームでぇ、ゲームでぇ・・・」
「ば、ばか声がでかいぞッ!!」

>>朝まで男エルフに、ケツの穴掘られてたのかよぉぉぉおッ!!<<

<こ、こいつ後で殺すッ! いいや今殺しておくべきかッ!?>
 昂のサブギャラは、女格闘家でありセックスの相手が男エルフなら、当然そういう推測が成り立つわけだ。後に戦績から『SEX回数表示』が廃止されたのは、昂のようなネカマの反対署名が百万件を突破したからだ。

 ※※※

 昂たちの馬鹿騒ぎを教室の隅から訝しげに覗いている、女の子三人組がいた。彼女たちも眠そうな目をして、日差しを避けるように窓から離れて集まっていた。
mmo1.jpg
「晶、あんな馬鹿(たかし)の言うことなんか、気にする必要ないよ・・・」

 窓に背を向けて立っているメガネを掛けた、黒髪のロングヘアの立花優子(たちばなゆうこ)は、憂鬱な面持ちの安曇晶(あずみあきら)に言った。

「ううん、別に気にしてないよ」

 晶は、昂の後ろ姿を見ながら、彼がどんな気持ちでいるのか知りたかった。彼女たち三人は、ハロウィンのチーム『フリージア』のメンバーで、スバルを勧誘するために、昨晩近付いた『優子』『アキラxcodomo』『カナタ0913』だった。

「『鉄の処女スバル』が、男(アキラ)を犯すなんて思わなかったから、二人っきりにしたけど・・・まさか昂がホモだなんて、思わなかったから」
「私から二人にしてほしいってお願いしたんだから、優子が気に病むことはないわ」
「ごめんね・・・男なんかに、いやらしいことされて、辛かったでしょう?」

 優子は、晶のショートカットも、黒い瞳も、肉付きの良いスタイルも、全てが好きだった。そんな彼女を労わる様に抱きしめて、頭を撫でていた。彼女は、謝る振りをして、晶に抱き着きたかっただけだった。
 朝から教室の片隅で、友情以上の何かを確かめ合う二人の横で、ツインテールの背の高い神田美鈴(かんだみれい)が昂と高志を指差した。

「けどさぁ、星崎昂がホモなら、現実(リアル)の恋人は、やっぱり高志くん?」

 美鈴が気にしているのは、密かに意中の人だった高志がホモなのか? 当然のことだが、二人に友人以上の関係はない。また美鈴のプレイヤー名『カナタ0913』は、高志の名字『たなか』をもじったもので、0913は、高志の誕生日9月13日のことである。

「美鈴も、優子も聞いてほしいの・・・昂くんは、ホモじゃないよ。私が、スバルを犯したんだから」

 晶の告白に、優子がワナワナと肩を震わした。
 優子は、晶の身体を狙うレズビアンだった。

「あ、晶・・・あなた、もしかして、ス、スバル(女格闘家)を見て、欲情しちゃったの?」
「うん、スバル(中の人は昂くん)を見て欲情したわ」
「ようこそ、女の子の世界へ」
「あ、ありがとう???」

 優子は、晶を強く抱きしめた。
 色々と勘違いしている人がいるようだ。

 ※※※

 ハロウィ(ゲーム)ンでの関係は、現実(リアル)の関係を蝕んでいく。
 アキラからスバルに「今夜も会いたい」と送った一通のメール。
 リアルを追求したゲームと現実は、まるで垣根が存在しないかの如く。





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