FC2ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←しばらく御無沙汰いたしておりましたが →王子さまとテレアポします! ……登場人物紹介 メモ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ  3kaku_s_L.png 各小説の属性
もくじ  3kaku_s_L.png 零―中邑あつし
もくじ  3kaku_s_L.png 狼になりたい
もくじ  3kaku_s_L.png 追憶の人
もくじ  3kaku_s_L.png おばかさん
もくじ  3kaku_s_L.png 作詞したもの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はんぶん、ずつ
もくじ  3kaku_s_L.png おしらせ
もくじ  3kaku_s_L.png 書き手の御挨拶
もくじ  3kaku_s_L.png 真珠
もくじ  3kaku_s_L.png 酔狂なレビュー
【しばらく御無沙汰いたしておりましたが】へ  【王子さまとテレアポします! ……登場人物紹介 メモ】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

俺に彼女が出来るまで

俺に彼女が出来るまで… 5 同級生と遭遇しました

 ←しばらく御無沙汰いたしておりましたが →王子さまとテレアポします! ……登場人物紹介 メモ
 家庭教師は、すでに身支度を整えていた。
「明日から、ちゃんと勉強しましょうね」
 今日のことは忘れてください……とでも言いたいのか。大輔は川田の言葉が、ひどく冷たいように感じた。
 視界の隅にカーテンの隙間が映る。とうに陽が落ちていた。
 大輔は躊躇して口を開く。
「べ、勉強は……がんばります。それと……『川田先生』のこと、送って行きたいんですけれども」
 確かさっき、自宅から近いことが家庭教師を決めた要素になったとも言っていたはずだ。彼なりに川田をエスコートしたかったのだ。
 しかし家庭教師は、目をそらす。
「それはいいです。ここから駅まで、最短五分で着くのはわかりましたから」
「まあ、そうなんですけれども」
 川田の耳たぶが、心なしか赤く見える。
「今日はいいですよ。あんまり甘えてしまったら、けじめがつかなくなりそうだから……」
 大輔は怖気づく。
「でも……」
 相手は、ぱちぱちと、まばたきを繰り返した。
「そんなことより先に、お願いがあるんです」
「なんでしょう」
 川田が緊張している様子が伝わっている。
 こともなげに尋ねた手前、近寄ったり、ましてや衝動のままに抱きしめたりするなんて出来やしない。
 じっと目を合わせていると、彼女の方から口を開く。
「あのですね……『川田さん』じゃなくて、名前を呼んでほしいんです」
 大輔は肩から大きく力を抜いた。
「明日から数学の復習をしましょう。教科書の一ページ目からここまで、私が来るまでに解いておいてください」
「はい」
「一緒にがんばって、成績を上げましょうね!」
 夢見心地で頷き、麻美子を玄関先で見送った。

 大輔は扉が閉まった直後、改めて数学の教科書をしげしげと眺めた。
 ……デレデレして「はい」って言っちゃったけど、どうしよう。
 緩みきっていた頬がこわばってくる。
 家庭教師が指し示した範囲は、序盤から授業について行けなくなった単元ばかり。
 大輔は自分で自分を奮い立たせる。
 がんばれ俺。超がんばれ。せっかく、あんな綺麗な人が色々と教えてくれるんだから。

 そうだ。明日、図書館に行って解いてみようかな。
 場所を変えたらなんとかなりそうじゃん? 根拠のない自信だけどさ。

 彼はごろりと布団の中にもぐりこんだ。
 そこは美人家庭教師の香りで一杯だ。台風一過気分のまま、眠りの中に引きずり込まれる。

 ...

 大輔は今、図書館の学習室にいる。何気なしに壁の時計を見ると、午前十一時を少し回ったところ。
 今日の午後からは本格的に「家庭教師」が勉強を見てくれる。
 それはとてもうれしい。だが、さっぱり課題が解けない。大輔は同じページを何度も眺めているだけの状態だった。

 ええと……麻美子先生は、二時に家に来てくれるんだったっけ? それまでに少しでも解いておかないと、まずいよね。

 大輔はじっくりと数字を眺め、もう一度、一番はじめのページからやり直してみることにした。
 こんな初歩の初歩から、やり直すってダサいなぁ……。
 だけどさ。
 麻美子さんは、こっちの通知表を見て眉をひそめちゃったんだよ。つまり、最初から「マイナスからのスタート」ということになるよな。
「えー、でも、やっぱり少しは見栄を張りたいよ……。せめて初歩の段階だけでも分かってます、みたいなことくらいは……」
 大輔は、いまだにインクの匂いが漂う教科書を開き、ぐずぐずと考えこむ。
 ……いや、しかし! 
 悲惨な成績を見て、母性本能とやらをくすぐられたのではないだろうか。
 それもちょっと待て、自分? それって逆に、超みっともなくないか? ねえ、どうよ?
 彼は数字を書く手を止め、大きく溜め息をついた。
「勉強が手につかないよー」
 真っ白いノートに目線を移すと、どうしても家庭教師の肌の白さと比べてしまう。それに、数式の形がなぜか女性器やセックスの体位の形に見えてしまう。
「だ、だめだこりゃ」
 つぶやいて頭をかきむしると、斜め前からクスクスと笑う声が聞こえてきた。
 顔を上げると、同じクラスの女子が、こちらを真っ直ぐに見ていた。
「えっ」
 大輔の額から汗が吹き出る。
 彼女は同級生に向かい、唇の形を「おはよう」と作って、にっこりと笑った。
 確か近藤陽菜、という名前の同じクラスの女子だ。「ひな」とクラスメートからは呼ばれている。
 憶えている限り、近藤は成績優秀な生徒たちと行動しているイメージしかない。自分とは縁がない世界の子、という認識だ。
 みっともないところ、見せちゃったな。
 あわてて、近藤にお辞儀を返した。
 私服のせいか、見慣れた姿とはだいぶ印象が違って見える。染めていないショートカットの髪が、卵形の整った顔だちによく似合う。大きめの切れ長の目尻が下がっていた。小さな唇に載せたリップクリームの色が、ほんのり赤い。
 近藤は濃紺のセーターから、薄いパープルのポロシャツの襟を立てていた。ニットの服を着ているせいか、乳房が大きく張り出しているのがよくわかる。
 制服では目立たないが、大輔の目から見ても充分に彼女は巨乳の部類だ。ショートカットのせいか、ほっそりした白い首と繋がる鎖骨のラインが強調され、乳房の張り出しともあいまっている。絶妙なバランスだ。
 あ、ヤバい。見とれちゃうよ。
 同級生は不審な目線に気がつき、さり気なく胸元を隠すように大学ノートを机に立てた。
 大輔は思わず顔を曇らせる。
 しかし近藤は、こともなげに言った。
「長野くんでも図書館に来ることって、あるんだね」
「ああ。近藤さんは?」
「図書館に来て遊んでるわけないじゃん。しかも今日ってクリスマスだよ? お互いに悲惨だよね。デートする相手もいないんだもん」
「ま、まあ。そうなんだけど。確かに悲惨だ」
 同級生女子は頭をかいた大輔を「しょうがないなあー」と呆れたように笑った。
「なんだよ。笑うなよ」
「ごめん。ほんとにびっくりしたんだよね」
「俺がここにいるのって、そんなに意外かなあ」
 ふたたび頭をかいてしまう。私服だと高校生に見えないというのも損だな。
「私の家、兄弟が多いからね。休みになるとここに来てるのよ。読みたい本もタダで読めるでしょ。長野くんも、そういう気持ちのときってあるんだなあって」
 近藤は「てへっ」と赤い舌を出した。なんか可愛いな、コイツ。
「お、俺だって近藤さんと同じ高校生なんだから。べ、勉強したいときくらいあるよ?」
「根は真面目だったんだねー」
 大輔は「今だ!」とばかりに、大袈裟に両手を広げた。
「そう! そうなのよ、根は真面目。大真面目。だからさ、ちょっと教えてくれない? 一学期の数学の範囲なんだけど」
「えー」
 近藤は露骨に困った顔をする。
「一生のお願い! 俺からそっちに行くからさ」
 そのおっぱいを間近で観たい、と、口が裂けても言えない。数学を教えてもらうのにかこつけて、隣に座りたい一心だ。
「しょうがないね。そっちに行くから、待ってて」
「すまん」
 同級生は、かたかたと椅子を動かして立ち上がっていた。それから自分の広げていたノートや筆記用具をリュックに詰める。彼女の独り言が聞こえた。
「長野くんって、そんなキャラだったのね」
「お、おう」
 適当な返事をしつつ、テーブルの下で肉根が勃つのを抑えようとする。今日はジーンズを履いているから、同級生にみっともない姿を見せなくて済むんだけどね。
「変なの。って言うか、今まで全然、喋ったことないけど」
 ぱたん、と小さな音を立て、近藤は隣に座る。大輔は心の中で、俺が一番、自分の変化に驚いているんだよと言いたかった。
 ……実は昨日一日で、性獣に変化しちゃったと思うんだ。って、単にキミのおっぱいが見たい一心だけなんだけど。
 わざと難しい顔をして、ため息をつく。
「違うんだよ、成績が急降下したことで親父が怒っちゃって。昨日から家庭教師が来てるんだ」
「へえー」
 近藤は、興味深そうに目を輝かせた。
「その家庭教師って怖いの?」
「まあね」
 彼女が大輔を見る目が、一気に慈愛で満たされる。
 大輔はそれを感じて、心がちくちく痛む。麻美子先生、ごめん。まるで鬼みたいな言い方しちゃって。
「とにかく、それでね。少しでも勉強を進めないと、親父から関西に強制送還されちゃうんだよ」
「えっ? もうすぐ二年生に進級する、この時期に?」
「そう」
「そういえば長野くんって、単身赴任のお父さんとは離れて一人暮らしなんだっけ。でもさ、そうなったら大変よね。で、教科書のどこから教えたらいいわけ?」
「こ、ここから」
 近藤は彼から指し示された箇所を見て、ぎょっとしたように身を固めた。
「……こんなの初歩の初歩じゃない。ダメさ加減にも程があるよ?」
「だから困ってるんだよ。もっとちゃんと授業を受けていればって」
「ほんと、しょうがないなあー」
 彼女は心底から呆れたように唇を尖らせた。
 大輔には昨日の麻美子さんがキスをせがむ唇の形と、妙にダブっている。彼の股間に、血液が集まってきた。
「ご、ごめん。今日だけでいいから」
 近藤は動揺した同級生男子に向かい、溜め息をつく。
「わかった、教えてあげる」
「ありがとう」
 一応、大輔は神妙な振りをしているが、ついつい彼女のおっぱいの形や、乳首の色を妄想しそうになる。気づかない近藤は要領よく、しかも、丁寧に進めてくれる。
 大輔が家庭教師の麻美子から言い渡された範囲まで、あと数ページという時だ。近藤が、ふっ……と自分の腕時計を見る。
「なにか用事あるの? ごめん。俺、気がつかなくて」
 彼女は大輔に向き直り、首を振った。
「違うの、少しお腹すいたなって思っただけ」
「そ、それもそうだね」
「それよりも長野くんの方は、家庭教師が来る時間とか大丈夫?」
「あっ」
 近藤に言われ、気がついた。時計の針が、一時を少し回っている。
「ここまで教えてもらって理解できたから。あとは家でやるよ。ありがとう」
 彼が立ち上がると、近藤も一緒に立ち上がった。
「私も復習できて、よかった。途中でお昼を食べてから帰るわ」
「そう。じゃあ一緒に出ようか」
「うん」
 それから二人は図書館で別れた。
 大輔は家までの道々で、なんだか不思議な気持ちになる。

 ――どうして近藤さんの前だと、緊張しないでいられたんだろう? 


もくじ  3kaku_s_L.png 各小説の属性
もくじ  3kaku_s_L.png 零―中邑あつし
もくじ  3kaku_s_L.png 狼になりたい
もくじ  3kaku_s_L.png 追憶の人
もくじ  3kaku_s_L.png おばかさん
もくじ  3kaku_s_L.png 作詞したもの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はんぶん、ずつ
もくじ  3kaku_s_L.png おしらせ
もくじ  3kaku_s_L.png 書き手の御挨拶
もくじ  3kaku_s_L.png 真珠
もくじ  3kaku_s_L.png 酔狂なレビュー
【しばらく御無沙汰いたしておりましたが】へ  【王子さまとテレアポします! ……登場人物紹介 メモ】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【しばらく御無沙汰いたしておりましたが】へ
  • 【王子さまとテレアポします! ……登場人物紹介 メモ】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。