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もくじ
書き手の大きな独り言

もくじ
ごあいさつ――優美香

もくじ
ごあいさつ――悠久剣士

もくじ
ごあいさつ――中邑あつし

もくじ
各小説の属性

もくじ
美少女アウト――悠久剣士

もくじ
貝割れ美少女――悠久剣士

もくじ
零―中邑あつし

もくじ
女子高生と恋愛しませんか?

もくじ
伊織とキスから最後まで

もくじ
放課後、彼女にキスしよう/R18

もくじ
彼女のおっぱいは僕のもの!

もくじ
狼になりたい

もくじ
追憶の人

もくじ
韓流なんてぶっとばせ

もくじ
二度目の破瓜……

もくじ
おばかさん

もくじ
作詞したもの

もくじ
未分類

もくじ
ライナーノーツ(自筆

もくじ
ごあいさつ&リンク先

もくじ
はんぶん、ずつ

もくじ
おしらせ

もくじ
この雨が止む前に

もくじ
書き手の御挨拶

もくじ
真珠

もくじ
酔狂なレビュー

もくじ
包み込むように――中邑あつし

もくじ
清水のほとり―藤崎悠貴さま

もくじ
紅い満月の夜に―Roseさま

もくじ
春まだ遠く―優美香

もくじ
天女の湯浴み―辛口一升瓶さま

もくじ
ランニング・ハイ―辛口一升瓶さま

もくじ
香港ドライブ―悠久剣士さん

もくじ
俺と可憐さん―赤閣下さま

もくじ
「ゆきずり」―char£sさま

もくじ
僕の体をレンタルします―優美香

もくじ
魔王に抱かれた私――優美香

もくじ
俺に彼女が出来るまで

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王子さまとテレアポします!

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魔王に抱かれた私――優美香
魔王に抱かれた私……59
2013.03.08 *Edit
59、潮の行方・2
エーベルは立ち上がり、耳を澄ませた。自分たちが暮らしていた宮殿の隣に意識を向ける。教会のあった場所は、瓦礫だけになっていた。瞼を閉じれば、何人かの文官と教会長、神職に就く魔術師たちの気配がする。きっと集団で、ここまで移動する手段を考えているに違いない。
エーベルは横に座っているフランが、こちらを見上げているのに気がついた。
「本当に、みんな無事なのね?」
彼はわずかに目尻を下げた。
「ああ」
彼女は一瞬、エーベルから視線を外す。しかし、すぐに彼を見上げた。
「宮殿の同僚や先輩たちの様子、視えるの?」
「安心して。さっきも言ったけど、レフティに抵抗しない限り、危害は与えられてはいない。きみの心配している人たちは、賢いから上手に振舞っている。全員、無事だ」
「そう」
フランは立ち上がり、おぼつかない足取りで小屋の扉側へ歩いていく。見ると、焚き火の跡を片付けはじめている。彼女は胸当ての付いたエプロンに、燃えかすを丁寧に集めていた。
「手伝うよ」
「いいわよ、どうせすることないし」
「可愛くないな」
彼女はエーベルが軽く言った言葉に、顔をこわばらせて横を向いた。
「ごめん」
フランは黙々と燃えかすを集めてから、彼と目を合わさずに尋ねた。
「これ、どこに捨てたらいいの」
捨てるもなにも、念じれば消えるものだ。エーベルは彼女に黙って笑いかけ、エプロンに集まった燃えかすに目を移す。
瞬間、エプロンの上は空っぽだ。フランはなにひとつない、煤けて真っ黒になったエプロンを呆然と見つめた。
「どこに行っちゃったの、あれ」
「さあ」
エーベルは彼女の手に目を留める。灰で汚れてしまった指先を見た時、心臓が大きく高鳴る自分を感じた。フランは彼が深緑色の瞳が大きく開き、こちらの手指を見ていることに気がつく。彼女は即座に、きびすを返した。
「手が洗えないって不便ね」
フランの背中から、優しい声がする。
「見せてごらん」
彼女はなにも言えなくなった。戸惑っているうちに、いつのまにかエーベルは目の前にいる。彼はフランをまっすぐ見つめながら、彼女の両手を取った。
「な、なにす……」
「働いている人の手だよね、きみの手は」
フランは彼から目を背けた。
「日焼け跡も取れないし指の形も悪いし、爪も」
「わたしはそういう人が好きだよ」
彼女がエーベルを、悲しそうな目で見返す。
「気休めでもうれしいわ、ありがとう」
「気休めじゃないよ」
エーベルは激しく高鳴る鼓動を押さえ、なるべく息遣いを鎮めて彼女の手を撫でた。フランは彼の掌からもどかしそうに手を外そうとする。
しかしエーベルの腕と胸板が、逃げようとする彼女を抱きすくめた。フランは目をしばたたかせ、彼の身から剥がれようと試みる。
彼は腕に力を篭めた。
「お、おかしいよ。エーベル。こんなの」
「……黙ってろ」
彼女が知っているエーベルの口調と違い、低く切なそうな言葉が聴こえる。フランが彼を見上げると、ぎゅっと目を瞑り、一所懸命になにかを堪えているような気がした。ふっ……と彼女は、体から力を抜いた。
エーベルが、そっと唇を近づけようとする。フランが泣きそうな顔を背けた。
「そんな慰め方、おかしいよ」
彼の頭の芯が、ぐらりと外れる。
「違う……」
無理矢理フランにくちづける。思うまま、腕に力を込めて抱きしめていく。なんと言えば、この人に心が伝わるだろう。どうすれば、この人を癒せるのだろう。
エーベルは逃れようとし続ける彼女をきつく抱きしめたまま、膝を崩している。長いくちづけは、破裂しそうな心臓に我慢を強いたものだ。
「どこにも行かせないからな」
唇を離して一言、言ったきり。彼はふたたびフランの唇を強引に奪い続けた。
「だって……! 変、だよ、エ、エー……っ」
「黙ってろと言ったはずだ」
エーベルはフランの背中を庇いながら、彼女を地面へと押し倒した。小さな悲鳴がする。彼はなおもフランを胸板で押し潰しながら、くちづけを繰り返した。自分の吐息が荒くなってくるのがわかる。
ふと彼が顔を上げると、目を閉じて頬を真っ赤にしたフランがいた。どうにかして腕で、こちらを跳ねのけようとしているようだ。
彼は頬を緩めた。
「無駄だよ、フラン」
えっ、と怯えた彼女をぴったりと抱きしめ、エーベルは目を閉じた。次の瞬間、フランは驚き、気づく。ここは小屋の中だと。そして彼が、こちらを抱きかかえたまま、自分の下敷きになっていることも。
あっ、と彼女が声を出す前に、エーベルはふたたびこちらを胸板の下に敷いていた。彼の唇だけがフランの唇に、何度も何度も押し当てられる。
「さ、さっき……っ。か、かわ……くないって……っ」
両腕を開かれたフランは、上から降ってくる彼の唇から逃げ続けようとする。エーベルは彼女を抱きすくめたまま、無言で髪や額、頬に唇を押し当て続けた。
「や、やあ……っ」
フランの心に、レフティの面影が不意に浮かぶ。
――あの人も確か、こんな風に。
初めて彼に抱かれた夜も、なしくずしのままで流されたと思い出す。途切れ途切れに浮かぶ記憶の断片が、彼女の気持ちを締めつけた。
エーベルの唇があちこちに降ってくるたび、あの夜の情景が浮かんでくる。思い返せば奈落の底に突き落とされそうだ。……しかし彼女は気づく。
エーベルは、唇を押し当てる以上のことはしてこない。
今ならまだ、友だちに戻れるかもしれない。そう思った彼女は必死で目を開け、彼に懇願した。
「やめ……」
エーベルは彼女の心を知っている。彼はかぶりを振り、フランの額にくちづけた。
「わたしはあの男と違う」
フランは目を閉じた。ふたたび涙が流れて止まらなくなる。
エーベルは彼女にかける力を緩めた。それから丁寧に、フランの涙を唇で拭いながら告げた。
「ねえフラン。……誰かの代わりになんか、ならなくていいんだよ」
意味を悟った彼女は、堰を切ったように声を上げて泣き出した。エーベルにはフランの心情が、痛いほどわかる。
彼は相手にくちづけるのを止め、抱きしめながら髪を撫で続ける。辛抱強くフランの泣き止むまで、そのままの姿勢で待っていた。ほどなくして、フランがしゃくりあげながら、こちらを見ていることに気づく。
「慰めてくれて、ありがとう……」
エーベルはフランを見つめた。
「こんなこと慰めで、わたしにはできない。わたしはカインさまのように、強い理性を保っていられるような男ではないんだ」
相手の息を吸う音が大きく震える。彼は言った。
「わたしも、わたし自身を見てほしい……」
そして彼はフランと唇を合わせ、静かに舌を差し伸べる。彼女の背中が大きく跳ねようとするのを、しっかりと抱きかかえながら。
エーベルは彼女から唇を離し、そっと右手を重ねて指を絡めた。
「あなたが愛しいよ」
彼はそう言って、フランにふたたび唇を重ね合わせる。彼女は体を固くしながらも、エーベルの舌を受け入れた。
エーベルが唇を離すと、フランがぽつんと言った。
「友だちだと思っていたのに」
彼はなにも言わず、腕の中の女を抱きしめた。
ふたりは互いに怯えながら、舌を絡め合わせる。静かな小屋の中、何度か唇を離す音がした。彼はフランの首に唇を這わせ、丁寧に柔らかい素肌を舌で撫でていく。びくん、と彼女の体が震えるたびに、右手を固くつなぎ、左手では髪や頬を撫でている。
エーベルはフランの素肌に唇をつけながら、ワンピースもエプロンを引き剥がした。そして、乳房を覆うブラジャーも。
彼は小刻みに震える彼女の両の乳房を目にして、自然と吐息が荒くなる。片手で乳房を包んだエーベルは、もう片方の乳房に吸い付いた。
「ああ……」
フランが幾度も身を震わせながら、諦めたような声を上げる。逃れようとしても、エーベルの手指や唇が赦してくれないのだ。
今までに経験したことのない、優しい心が伝わってくる愛撫だった。エーベルから伝わるすべてが、フランを激しく怯えさせ、萎縮させていく。
「も、もう、怖い……」
彼女はそう言って身をこわばらせながら、目を開けた。エーベルは柔らかくフランの額に触れる。
「怖いままでいい。今から『彼』を忘れさせてみせるから」
彼はあらためて、愛おしい女にくちづけをした。レフティと真逆のセックスをしようと思ったら、決してできないことはない。
しかしエーベルは優しく、彼女の柔らかい体に触れたかった。フランが体を震わせるたびに、きつく抱きしめていたかった。
彼は時間をかけてフランの体のこわばりをほどいていくごと、つないでいる手に力を篭めた。やがてフランの息が細かく上がっていく。
いつしかエーベルはぬかるんだ彼女の大事な所を、唇と指先で丁寧に愛でている。
既にフランの意識は激しく混濁し続け、壊れかけていた。彼女はいつから堪えきれない鳴き声を上げていたのか、思い出せないほど彼に翻弄されている。
「あぁ! ああ……ぁっ、あ! あ……あああ、あはあぁぁぁ……っ!」
小屋の中には、何度もフランの声が響いていた。
彼女は優しさのこもった愛撫を延々と受け、何度か呻き声を上げて尽きていた。フランのすっかり壊れてしまった心に、あたたかい声が響く。
「おいで。フラン」
エーベルの背中に彼女の腕が緩く巻きつく。彼は互いの素肌がしっとりと重なりあったのを確かめた後、ゆっくりとフランの中に入っていった。
エーベルは彼女の体の奥深くまで自分を沈めた。フランは押し寄せる快感に耐え切れない。身を大きく震わせ、エーベルにしがみつく。
彼は鳴き声を吸い取るように唇を重ねる。そしてエーベルは自分の心が彼女を欲しがるのに任せ、力強くフランを導き続けた。
「もっとわたしに堕ちてこいよ、もっとだ」
「あああっ、あぁ! も、もうだめ、もうだめえっ、あ、ああああん! あぁ……っ!」
エーベルは彼女をがっしり組み敷いたまま、乳房を弄び、うなじを味わう。フランの体が火照って、真っ赤に染まっていた。彼もまた、気が狂いそうな快感に全身を貫かれている。彼女は幾度も、エーベルによって呻きの果てに弛緩した。
彼は射精の時が近いことを感じた。胸の下で、がくがく震えるフランの髪を優しく撫でる。
「あなたの未来も、わたしがもらうよ。いいね」
エーベルは無抵抗に成り果てたフランの体に、大きくうねりをつけて幾度も己を叩きつけた。彼女の唇から漏れる悲鳴は、彼の唇と舌が絡め取っていく。逃れる先をなくした快感が、フランの体の隅々で爆ぜる。
「ん、んぅぅーーーーっ!」
愛しい女の呻き声が至福の響きに聴こえる。
エーベルは痺れるような快感の中、彼女の体内の奥深くに真っ白い精を注ぎ込む。フランは激しく弛緩しながら気を失った。
彼はそのまま、彼女の頬を軽く掌で包みこんでいた。やがてフランの浅い呼吸が戻ってきたことを感じ、愛おしむように腕や肩に触れていく。
エーベルの耳に、かぼそい声が聴こえる。
「あ……。あたたかい。エーベルの、からだ……」
エーベルは微笑み、最後まで聞き取らずに丁寧に彼女と舌を絡めた。自分がまだ深く沈む彼女の体は、熱いうるみを湛えて震え続けている。
「我慢できない……」
彼はこらえきれずに、ゆっくりと動き出していく。
「あ、も、もう……っ! あぁぁっ! そ、そん……っ! あううぅっ!」
「……なに?」
「き、きつい……っ、ああん! きついよぅ……っ! あ、ああっ!」
「これが……。わたしなんだよ」
彼の言葉を耳から流されたフランの体が、深く諦めたように脱力する。彼女はふたたび、彼の力強い優しさにまみれながら堕ちていく。
エーベルは何度もフランに愛情のしるしを放ちながら、あたらしく生まれ変わっていく自分を感じた。
エーベルは立ち上がり、耳を澄ませた。自分たちが暮らしていた宮殿の隣に意識を向ける。教会のあった場所は、瓦礫だけになっていた。瞼を閉じれば、何人かの文官と教会長、神職に就く魔術師たちの気配がする。きっと集団で、ここまで移動する手段を考えているに違いない。
エーベルは横に座っているフランが、こちらを見上げているのに気がついた。
「本当に、みんな無事なのね?」
彼はわずかに目尻を下げた。
「ああ」
彼女は一瞬、エーベルから視線を外す。しかし、すぐに彼を見上げた。
「宮殿の同僚や先輩たちの様子、視えるの?」
「安心して。さっきも言ったけど、レフティに抵抗しない限り、危害は与えられてはいない。きみの心配している人たちは、賢いから上手に振舞っている。全員、無事だ」
「そう」
フランは立ち上がり、おぼつかない足取りで小屋の扉側へ歩いていく。見ると、焚き火の跡を片付けはじめている。彼女は胸当ての付いたエプロンに、燃えかすを丁寧に集めていた。
「手伝うよ」
「いいわよ、どうせすることないし」
「可愛くないな」
彼女はエーベルが軽く言った言葉に、顔をこわばらせて横を向いた。
「ごめん」
フランは黙々と燃えかすを集めてから、彼と目を合わさずに尋ねた。
「これ、どこに捨てたらいいの」
捨てるもなにも、念じれば消えるものだ。エーベルは彼女に黙って笑いかけ、エプロンに集まった燃えかすに目を移す。
瞬間、エプロンの上は空っぽだ。フランはなにひとつない、煤けて真っ黒になったエプロンを呆然と見つめた。
「どこに行っちゃったの、あれ」
「さあ」
エーベルは彼女の手に目を留める。灰で汚れてしまった指先を見た時、心臓が大きく高鳴る自分を感じた。フランは彼が深緑色の瞳が大きく開き、こちらの手指を見ていることに気がつく。彼女は即座に、きびすを返した。
「手が洗えないって不便ね」
フランの背中から、優しい声がする。
「見せてごらん」
彼女はなにも言えなくなった。戸惑っているうちに、いつのまにかエーベルは目の前にいる。彼はフランをまっすぐ見つめながら、彼女の両手を取った。
「な、なにす……」
「働いている人の手だよね、きみの手は」
フランは彼から目を背けた。
「日焼け跡も取れないし指の形も悪いし、爪も」
「わたしはそういう人が好きだよ」
彼女がエーベルを、悲しそうな目で見返す。
「気休めでもうれしいわ、ありがとう」
「気休めじゃないよ」
エーベルは激しく高鳴る鼓動を押さえ、なるべく息遣いを鎮めて彼女の手を撫でた。フランは彼の掌からもどかしそうに手を外そうとする。
しかしエーベルの腕と胸板が、逃げようとする彼女を抱きすくめた。フランは目をしばたたかせ、彼の身から剥がれようと試みる。
彼は腕に力を篭めた。
「お、おかしいよ。エーベル。こんなの」
「……黙ってろ」
彼女が知っているエーベルの口調と違い、低く切なそうな言葉が聴こえる。フランが彼を見上げると、ぎゅっと目を瞑り、一所懸命になにかを堪えているような気がした。ふっ……と彼女は、体から力を抜いた。
エーベルが、そっと唇を近づけようとする。フランが泣きそうな顔を背けた。
「そんな慰め方、おかしいよ」
彼の頭の芯が、ぐらりと外れる。
「違う……」
無理矢理フランにくちづける。思うまま、腕に力を込めて抱きしめていく。なんと言えば、この人に心が伝わるだろう。どうすれば、この人を癒せるのだろう。
エーベルは逃れようとし続ける彼女をきつく抱きしめたまま、膝を崩している。長いくちづけは、破裂しそうな心臓に我慢を強いたものだ。
「どこにも行かせないからな」
唇を離して一言、言ったきり。彼はふたたびフランの唇を強引に奪い続けた。
「だって……! 変、だよ、エ、エー……っ」
「黙ってろと言ったはずだ」
エーベルはフランの背中を庇いながら、彼女を地面へと押し倒した。小さな悲鳴がする。彼はなおもフランを胸板で押し潰しながら、くちづけを繰り返した。自分の吐息が荒くなってくるのがわかる。
ふと彼が顔を上げると、目を閉じて頬を真っ赤にしたフランがいた。どうにかして腕で、こちらを跳ねのけようとしているようだ。
彼は頬を緩めた。
「無駄だよ、フラン」
えっ、と怯えた彼女をぴったりと抱きしめ、エーベルは目を閉じた。次の瞬間、フランは驚き、気づく。ここは小屋の中だと。そして彼が、こちらを抱きかかえたまま、自分の下敷きになっていることも。
あっ、と彼女が声を出す前に、エーベルはふたたびこちらを胸板の下に敷いていた。彼の唇だけがフランの唇に、何度も何度も押し当てられる。
「さ、さっき……っ。か、かわ……くないって……っ」
両腕を開かれたフランは、上から降ってくる彼の唇から逃げ続けようとする。エーベルは彼女を抱きすくめたまま、無言で髪や額、頬に唇を押し当て続けた。
「や、やあ……っ」
フランの心に、レフティの面影が不意に浮かぶ。
――あの人も確か、こんな風に。
初めて彼に抱かれた夜も、なしくずしのままで流されたと思い出す。途切れ途切れに浮かぶ記憶の断片が、彼女の気持ちを締めつけた。
エーベルの唇があちこちに降ってくるたび、あの夜の情景が浮かんでくる。思い返せば奈落の底に突き落とされそうだ。……しかし彼女は気づく。
エーベルは、唇を押し当てる以上のことはしてこない。
今ならまだ、友だちに戻れるかもしれない。そう思った彼女は必死で目を開け、彼に懇願した。
「やめ……」
エーベルは彼女の心を知っている。彼はかぶりを振り、フランの額にくちづけた。
「わたしはあの男と違う」
フランは目を閉じた。ふたたび涙が流れて止まらなくなる。
エーベルは彼女にかける力を緩めた。それから丁寧に、フランの涙を唇で拭いながら告げた。
「ねえフラン。……誰かの代わりになんか、ならなくていいんだよ」
意味を悟った彼女は、堰を切ったように声を上げて泣き出した。エーベルにはフランの心情が、痛いほどわかる。
彼は相手にくちづけるのを止め、抱きしめながら髪を撫で続ける。辛抱強くフランの泣き止むまで、そのままの姿勢で待っていた。ほどなくして、フランがしゃくりあげながら、こちらを見ていることに気づく。
「慰めてくれて、ありがとう……」
エーベルはフランを見つめた。
「こんなこと慰めで、わたしにはできない。わたしはカインさまのように、強い理性を保っていられるような男ではないんだ」
相手の息を吸う音が大きく震える。彼は言った。
「わたしも、わたし自身を見てほしい……」
そして彼はフランと唇を合わせ、静かに舌を差し伸べる。彼女の背中が大きく跳ねようとするのを、しっかりと抱きかかえながら。
エーベルは彼女から唇を離し、そっと右手を重ねて指を絡めた。
「あなたが愛しいよ」
彼はそう言って、フランにふたたび唇を重ね合わせる。彼女は体を固くしながらも、エーベルの舌を受け入れた。
エーベルが唇を離すと、フランがぽつんと言った。
「友だちだと思っていたのに」
彼はなにも言わず、腕の中の女を抱きしめた。
ふたりは互いに怯えながら、舌を絡め合わせる。静かな小屋の中、何度か唇を離す音がした。彼はフランの首に唇を這わせ、丁寧に柔らかい素肌を舌で撫でていく。びくん、と彼女の体が震えるたびに、右手を固くつなぎ、左手では髪や頬を撫でている。
エーベルはフランの素肌に唇をつけながら、ワンピースもエプロンを引き剥がした。そして、乳房を覆うブラジャーも。
彼は小刻みに震える彼女の両の乳房を目にして、自然と吐息が荒くなる。片手で乳房を包んだエーベルは、もう片方の乳房に吸い付いた。
「ああ……」
フランが幾度も身を震わせながら、諦めたような声を上げる。逃れようとしても、エーベルの手指や唇が赦してくれないのだ。
今までに経験したことのない、優しい心が伝わってくる愛撫だった。エーベルから伝わるすべてが、フランを激しく怯えさせ、萎縮させていく。
「も、もう、怖い……」
彼女はそう言って身をこわばらせながら、目を開けた。エーベルは柔らかくフランの額に触れる。
「怖いままでいい。今から『彼』を忘れさせてみせるから」
彼はあらためて、愛おしい女にくちづけをした。レフティと真逆のセックスをしようと思ったら、決してできないことはない。
しかしエーベルは優しく、彼女の柔らかい体に触れたかった。フランが体を震わせるたびに、きつく抱きしめていたかった。
彼は時間をかけてフランの体のこわばりをほどいていくごと、つないでいる手に力を篭めた。やがてフランの息が細かく上がっていく。
いつしかエーベルはぬかるんだ彼女の大事な所を、唇と指先で丁寧に愛でている。
既にフランの意識は激しく混濁し続け、壊れかけていた。彼女はいつから堪えきれない鳴き声を上げていたのか、思い出せないほど彼に翻弄されている。
「あぁ! ああ……ぁっ、あ! あ……あああ、あはあぁぁぁ……っ!」
小屋の中には、何度もフランの声が響いていた。
彼女は優しさのこもった愛撫を延々と受け、何度か呻き声を上げて尽きていた。フランのすっかり壊れてしまった心に、あたたかい声が響く。
「おいで。フラン」
エーベルの背中に彼女の腕が緩く巻きつく。彼は互いの素肌がしっとりと重なりあったのを確かめた後、ゆっくりとフランの中に入っていった。
エーベルは彼女の体の奥深くまで自分を沈めた。フランは押し寄せる快感に耐え切れない。身を大きく震わせ、エーベルにしがみつく。
彼は鳴き声を吸い取るように唇を重ねる。そしてエーベルは自分の心が彼女を欲しがるのに任せ、力強くフランを導き続けた。
「もっとわたしに堕ちてこいよ、もっとだ」
「あああっ、あぁ! も、もうだめ、もうだめえっ、あ、ああああん! あぁ……っ!」
エーベルは彼女をがっしり組み敷いたまま、乳房を弄び、うなじを味わう。フランの体が火照って、真っ赤に染まっていた。彼もまた、気が狂いそうな快感に全身を貫かれている。彼女は幾度も、エーベルによって呻きの果てに弛緩した。
彼は射精の時が近いことを感じた。胸の下で、がくがく震えるフランの髪を優しく撫でる。
「あなたの未来も、わたしがもらうよ。いいね」
エーベルは無抵抗に成り果てたフランの体に、大きくうねりをつけて幾度も己を叩きつけた。彼女の唇から漏れる悲鳴は、彼の唇と舌が絡め取っていく。逃れる先をなくした快感が、フランの体の隅々で爆ぜる。
「ん、んぅぅーーーーっ!」
愛しい女の呻き声が至福の響きに聴こえる。
エーベルは痺れるような快感の中、彼女の体内の奥深くに真っ白い精を注ぎ込む。フランは激しく弛緩しながら気を失った。
彼はそのまま、彼女の頬を軽く掌で包みこんでいた。やがてフランの浅い呼吸が戻ってきたことを感じ、愛おしむように腕や肩に触れていく。
エーベルの耳に、かぼそい声が聴こえる。
「あ……。あたたかい。エーベルの、からだ……」
エーベルは微笑み、最後まで聞き取らずに丁寧に彼女と舌を絡めた。自分がまだ深く沈む彼女の体は、熱いうるみを湛えて震え続けている。
「我慢できない……」
彼はこらえきれずに、ゆっくりと動き出していく。
「あ、も、もう……っ! あぁぁっ! そ、そん……っ! あううぅっ!」
「……なに?」
「き、きつい……っ、ああん! きついよぅ……っ! あ、ああっ!」
「これが……。わたしなんだよ」
彼の言葉を耳から流されたフランの体が、深く諦めたように脱力する。彼女はふたたび、彼の力強い優しさにまみれながら堕ちていく。
エーベルは何度もフランに愛情のしるしを放ちながら、あたらしく生まれ変わっていく自分を感じた。
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貝割れ美少女――悠久剣士

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零―中邑あつし

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女子高生と恋愛しませんか?

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作詞したもの

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ごあいさつ&リンク先

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はんぶん、ずつ

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この雨が止む前に

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書き手の御挨拶

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真珠

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酔狂なレビュー

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包み込むように――中邑あつし

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清水のほとり―藤崎悠貴さま

もくじ
紅い満月の夜に―Roseさま

もくじ
春まだ遠く―優美香

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天女の湯浴み―辛口一升瓶さま

もくじ
ランニング・ハイ―辛口一升瓶さま

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香港ドライブ―悠久剣士さん

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- ジャンル:[小説・文学]
- テーマ:[恋愛:エロス:官能小説]
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