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魔王に抱かれた私――優美香

魔王に抱かれた私……46

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46、潮流・1


 カインとエーベル、二人の男が一切の言い訳をせずに去って行く。
 自分自身の鬱屈した感情を全部吐き出してしまった後悔が、エレーナを責め立てる。彼女は泣くことしかできなかった。
 扉の内側で膝を床につき、声を殺して泣いていた時。扉の向こう側で、新たなノックの音がする。
「エレーナさま。レフティです」
 彼女は内心、自由に泣くこともできないのかと思いながら扉を開けた。
 含み笑いを噛み殺したレフティが、エレーナの泣き顔を見て心底から驚く。彼はエレーナに精一杯、いたわる声をかけた。
「どうなさったのですか」
「わ、わたしは」
 女王は泣きながら顔を覆い、ふたたび両膝を床に着く。
「カインとエーベルに『この宮殿から出て行って』と言ってしまった……!」
 しゃくりあげながら、ようやく声に出した言葉がレフティに届いたようだ。彼は内心で喝采をあげつつ、エレーナに言葉だけは優しくしようと試みる。
 レフティは静かにエレーナの肩に手を置いた。
「エレーナさまは正しいことをしたのです。なにも悔やむことはありません」
「そうでしょうか、本当にそうなのでしょうか」
 彼女は涙で濡れた顔を上げた。心の半分が引きちぎれたような気がする。たとえ自分から言い出した言葉であっても、エレーナには受け入れ難い現実だった。
「エレーナさま、あなたは『女王』なのですよ?」
 わざとレフティが強い口調を作り、彼女に言い聞かせる。エレーナの目に映る男は、口元に笑みを浮かべてはいた。しかし彼女は気づかない。レフティの目が異様にぎらつきながら、自分の全身を舐めるように眺めていたこることを。
 女王は改めて気がついた。今の自分の拠り所に成りうる人間は、レフティ以外に誰もいない。
 目の前にいる男は受容の笑みをたたえつつ、唇を重ね合わせた時に歓びよりも違和感をくれた男だ。そんな人間しか、拠り所になる人がいない。
 エレーナはしゃくりあげながら、レフティを見つめた。自らを正当化するために、迷いと後悔を振り切るために。
「カインは本当に、ルーンケルンの転覆を考えていたのでしょうか。そのために、わたしとお父さまに近づいてきたのでしょうか?」
 レフティは厳しい眼光を放った。女王の心が一瞬、すくむ。
「あいつらは『魔族』なのです! お忘れになりましたか、デメテールさまも、あなたのことも陥れようとしてきた汚れた存在なんです!」
 彼はたまらず、エレーナの頼りない体を抱きしめた。
「あいつらに、エレーナさまを渡しはしません」
 彼女はレフティの、がっしりとした胸板に押さえつけられて目を閉じる。
 そうだわ、この人の言う通りだった……。

 女王の顎を上げさせ、レフティがくちづけをした。
 軽く唇だけを合わせたあと、彼はふたたび女王の頬を掌で包んだ。
「あなたは女王として正しいことをした。それでいいんです」
 レフティは十七歳の女王の心理状態が、未だに激しい混乱に陥っていることを察した。そこで更に、たたみかける。
「あいつらを信用してはいけません。今までカインがエレーナさまに優しくしてこられたのは、この国の領土を取り、女子供を意のままに蹂躙するためです。その目的を叶えるためなら、彼らはなんでもする。おわかりになったでしょう?」
 エレーナは彼の腕の中で顔を上げた。
「……女子供を?」
 レフティは力強く頷く。
「そうです。転生しては女を犯し、飽きたら殺す。その繰り返しが、カインたちの本性だ」
 女王の細い体が、びくっと震えた。彼女は思い出している。港の聖堂上空から、踊るように生身の人間を殺め続けていた彼らの姿を。そして、カインが大蛇の頭部を握り潰し、脳漿があちこちに散らばっても尚、力を緩めることがなかったことを。
「あれが、本性?」
 彼女の足元から、嫌悪感と恐怖感が湧き上がってきた。それは身の震えにつながり、レフティにも伝わった。
「エレーナさまは、まだ若くて潔癖でいらっしゃる。それでいいのです、デメテール陛下もそうだったのですから」
 その一言は、混乱しているエレーナの心の箍
たが
を外した。彼女は迷うことなく、レフティを見上げて目を閉じる。
 レフティは長年、思い描いてきた野心や欲望が陥落したことを感じた。彼はそのまま彼女を抱き上げ、ベッドへと向かった。
「あなただけは、カインに渡さない。その前に俺が奪ってやる。いいですね?」
 彼は有無を言わさずにエレーナをベッドに下ろし、荒々しく唇を貪りはじめた。
「あっ、レフティ……!」
 キスの合間、エレーナがレフティの胸を押しのけ、最後の抵抗をする。彼は女王の手首をつかみ、両側に広げた。
「心にまだ、カインがいるのは許せない」
 彼女は必死で顔を背け、自分にのしかかっている男に訴える。
「もう、あの人はここにいません! わたしが今、信じているのはレフティしかいません!」
 エレーナの声は彼に届く。レフティはようやく、女王の手首を掴む力を緩めた。
「本当ですね?」
 耳元で響く男の声に、エレーナは頷く。
「本当です、信じてください」 
「わかりました、信じます」
 レフティは女王の唇に自らの唇を重ね合わせた。なるべく優しくするように努めながら。
 彼はエレーナにくちづけを繰り返しながら、一糸まとわぬ姿にしていく。彼女の白い肌が震えるたび、レフティは急ぎたくなる。
「俺のものにしますよ」
 エレーナの全身を撫でまわし、唇を這わせて素肌の感触を確かめる。レフティは、細く真っ白い体が跳ねるたびに軽く押さえつけ、囁く。
「力を抜いてください」
 なぜか彼の脳裏に、フランを抱いた時の光景が思い浮かんだ。
 俺はフランに抱いてほしかった。なにもかも許してくれそうな彼女に、甘えさせてほしかった。
 だけど今はどうだろう。
 寄りべを失い、心が折れた「権力の象徴」が手の中にあっても、フランに対してよりも丁寧に進める感情が湧きあがらない。
 気がついたレフティは一瞬、体のすべてが萎えそうになる。でも。ここまで来ているのだ。途中で止めるわけにはいかない。
 ――これは俺にとっても、通過しなければいけない儀礼的なものだ。
 見下ろせば、恥辱と恐怖で固く目を閉じているエレーナがいる。彼は自分を奮い立たせた。
 できるだけ優しくキスをしつつ、熱くなった肉根をエレーナの秘所へと伸べる。膣口を探り当てた瞬間、レフティの理性が飛んだ。肉根を力任せにねじ込んでいく。
「んああっ! い、痛い!」
 彼は顔を背けた女王の頬を押さえ、ふたたび舌を差し入れた。そして、精を放つ瞬間まで、エレーナの口の中に唾液を注ぎ続ける。
 レフティの頭の中では、西の呪術師・ヴィクティムの高らかに笑う声が聞こえていた。

 エレーナの全身が真っ赤に色づき、レフティの体液を無条件に受け入れていた夜。

 レフティが諍いを収めた検疫所では、新たな暴動が勃発していた。
 いったんは静かにしていた東西の国から帰ってきた商人たちが徒党を組み、ルーンケルン国内の検疫所に襲撃をかけたのだ。
 彼らは門に火を放ち、建物の窓という窓に投石をした。検疫所の中にいた気の弱い人間たちは引きずり出され、激しい暴力を受けていた。
 当然、軍は出動しようとするが、肝心の指揮官であるレフティは見つからない。しかし、よく統制された軍人たちは、できるだけ暴動に関係のない人間までは捕縛しなかった。
 だが、たったひとり、彼らの鎮静化に巻き添えを喰らい命を落とした人間がいた。亡くなった人間は、貿易商人の元締めの娘であった。
 そのことがますます、商人たちの役人に対する憎悪に火を付ける結果となった。



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