スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←魔王に抱かれた私……2 →魔王に抱かれた私……3
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ  3kaku_s_L.png 各小説の属性
もくじ  3kaku_s_L.png 零―中邑あつし
もくじ  3kaku_s_L.png 狼になりたい
もくじ  3kaku_s_L.png 追憶の人
もくじ  3kaku_s_L.png おばかさん
もくじ  3kaku_s_L.png 作詞したもの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はんぶん、ずつ
もくじ  3kaku_s_L.png おしらせ
もくじ  3kaku_s_L.png 書き手の御挨拶
もくじ  3kaku_s_L.png 真珠
もくじ  3kaku_s_L.png 酔狂なレビュー
【魔王に抱かれた私……2】へ  【魔王に抱かれた私……3】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

僕の体をレンタルします―優美香

僕の体をレンタルします……52

 ←魔王に抱かれた私……2 →魔王に抱かれた私……3
第五十二話・善臣、ダッチをふたたび観察しました



 ハズのサイトを介して宏実との再会があった土曜日から、一週間が過ぎていた。相変わらず、サイトには安定した件数でレンタル発注のメッセージが入ってきている。
 それらに対応しているうちに、気持ちを立て直すことにしようと思えてきた。新規参入してきた「ダッチくん」にばかり、気を取られてもいられないもんね。
 パソコンのメールボックスを見ながら、壁のカレンダーと携帯電話にハズのスケジュールをまとめて入れているうちに、不思議なことに気がついた。
 彼のことを平日に新規発注してくれる女性の数は減ったが、リピーターが増えている。
 今週は特にメッセージの遣り取りにばかり気を取られていて、リピート率には全くと言っていいほど注意を払っていなかった。
 しかも受注する側の彼女たちは、レンタル一回につき二時間未満の短時間で切り上げている。
 俺の頭の中に、ある考えが浮かんだ。妹が風呂から上がるのを待って部屋に呼び寄せる。
 柚希は頭に真っ赤なバスタオルを巻いて、パジャマのボタンを上から三つも外した姿で現れた。ハズと風呂場でいちゃいちゃしていたのか、頬が赤いのは湯当たりだけではないようだ。誘うように胸元を強調しやがって。けしからん。まあ俺とハズの前だけなら許すけど。
「なによう。そのエッチな目つき」
「おまえこそ、パジャマのボタンを閉めろ。谷間が限界だ」
「なに言ってるか全然わかんない。今、洗面所でハズくんの歯磨き手伝ってたのに」
「うそつけ。ま、平日のハズのレンタルが面白いことになってるから見てくれ」
 俺は顎でパソコンのモニタを指した。妹はくすくす笑ってモニタを覗きこむ。ほどなくして俺を振り向き、にいっと白い歯を出した。
「不思議だったでしょ。ハズくんね、動かなくなってから『平日女子』に人気があるんだよね。別に脱がなくてもいいみたい」
 柚希の話では、発注してくれる女性は性欲よりも「安らぎ」を求めるらしい。
「へえ。そんな目的だけで作ったんじゃないんだけどなあ」
「ハズくんって、いつもにこにこしてるから。それがアピールするんだって。しかも今は『怪我してる』状態じゃない? それがますます、そそるんだって。お客さんが言ってた」
「そういうことか。平日のレンタル料金を半額にしようと思ってるんだ。彼の右手が動かないことは、客に不便をかけることでもあるからさ」
 妹は頷いた。こういう時に余計な説明が要らない関係は助かる。
「その分、割り引いてサービスしますよってこと?」
「ああ、平日は薄利多売を狙いたいと思ってる」
「わかった、でも交通費くらいはプラスしてもらわないと」
「じゃあ今後、それで行こうか」
 ちょうどハズが襖を開けた。いいタイミングだ。
「柚希から聞いたんだけど。おまえって平日の方がモテるって、本当?」
「えへへ」
 彼が相好を崩して、耳のあたりをぽりぽりとかいた。
「セックスまでする人もいるし、しない人もいるんですけどね。半々くらいかなあ」
「ふうん。その辺は全然知らなかった。どんな話すんの?」
「色々ですよ」
「へえー。なんだか妬けちゃうな」
 妹は俺の顔を見ながら口を挟む。
「きっと、そういうのも相性なんだよ」
 相性ねえ……。柚希の言い方に、あいまいなものを感じつつ納得してしまったりする。人間相手のビジネスには想定外のことがあって当然かもしれない。
 翌日、いつものようにまり菜と一緒に授業を受けていた。片山は近頃なぜか、午後の授業だけに出席するようになっていた。
 まり菜は意識的に片山を避けている。時折、挨拶することはあっても、片山から些細な用事……嫌がらせになるキッカケになること……を、言いつかったりすることはないようだ。
 
 午前中の講義が終わり、昼休みにまり菜と二人で喫茶店に入ろうという話になった。いざドアを開けると、珍しく店内は満席だ。
「お蕎麦屋さんに行こうか、ここから少し遠いけど」
「そうしよっか」
 俺たちがドアを閉めて歩き出そうとした時、レジにいた女の子の店員と目が合った。黒のロングヘアを後ろで束ね、白のブラウスに黒の蝶ネクタイを締めた彼女は、まり菜に向かって微笑んだ。
「もうすぐ、テーブル席が空きますよ」
「ありがとう」
 店員の言った通り、男二人と女一人が一番奥、壁際のテーブル席を立つ。俺とまり菜は「あっ」と声を上げそうになった。
 三人いるうちの、女が片山だったのだ。ふわふわとしたロングの茶髪を黒く戻し、ストレートに伸ばしているから気がつかなかった。言葉を飲み込んだまり菜が、うつむいて俺の背中に回り込む。
 もしかしたら……と、俺の鼓動が高鳴った。即座に、レジで清算しはじめている男二人に目線を走らせつつ、空いたテーブルに歩く。
 ダンガリーシャツを着た背の高い男が、釣銭を受け取っていた。清算をしている彼の後ろに、ほぼ同じような体躯で、揃いのシャツを着ているサングラスをかけた男がいた。
 ぎこちなく口角を上げて微笑むような表情を作る彼は、まぎれもなく「ダッチ」。すれ違う直前、片山は立ち止まり、俺を冷たい目線で見上げてきた。
「仲いいのね、沢井くんたちって」
「まあ、ね」
 ふん、と鼻を鳴らした彼女は次に、まり菜へと言葉を投げた。
「ムカつくんだよね、あんたって。……絶対、あんたがたの商売よりも成功してみせるから」
 ……あんたがたの商売?
 ハズのことか。俺は一瞬で理解する。そうか、やっぱり片山が一枚噛んでたのか。
 三人が出て行くのはレジにいた店員の「ありがとうございました」の言葉でわかる。俺たちは席に着き、同じタイミングで大きく息を吐いて肩を下ろした。店員がオーダーを取りに来る。
 日替わり定食を二つ注文し、まり菜へと向き直った。やれやれ、これでようやく落ち着いた。首を左右に振ると、ぱきぱきと音がする。彼女がそんな俺を見て頬を緩めた。
「わたし、もしかしたら莉緒から『羨ましい』って思われているのかな」
「そうなんじゃないの? ま、食べようぜ」
「ねえ、もしかしたらあの人が木下さんとダッチくん?」
「俺もそう思ったよ」
 彼女の目がきらっと光る。
「借りてみようかな。いい?」
 思わずコップの水を吹き出しそうになった。あわてて飲み込み、むせながらまり菜を軽く睨みつけた。
「だめ。おまえは俺だけ」
 恋人は顔をほころばせる。
「善臣くんって、そんなに勝手な男だったっけ?」
「うっさい。それ以上言うと、お仕置きするぞ」
 まり菜は肩をすくめて舌をぺろりと出した。それから急に真顔になる。
「でも善臣くん、詳しく知りたいって言ってたじゃない? こないだの柚希ちゃんからの報告じゃ足りないんじゃないの?」
「足りないね……」
「でも、わたしがダッチくんを借りたら確かに莉緒のことが最大のネックになりそうだよね……」
「後から、なにが起こるかわからないぞ?」
 万が一にでも、ダッチと彼女のハメ撮り動画がネットで売り買いされるなんて冗談じゃない。だが、二人そろって軽く眉間に皺を寄せて考えていたが、妙案も出そうにない。
「ま、後で考えてみよっか」
「そうね」
 ちょうどその時、俺のかばんから携帯電話がマナーモードで鳴り出した。
 天の啓示か。人妻・亜衣子からだ。
 


http://novel18.syosetu.com/n9657bd/

オンライン小説検索・小説の匣







もくじ  3kaku_s_L.png 各小説の属性
もくじ  3kaku_s_L.png 零―中邑あつし
もくじ  3kaku_s_L.png 狼になりたい
もくじ  3kaku_s_L.png 追憶の人
もくじ  3kaku_s_L.png おばかさん
もくじ  3kaku_s_L.png 作詞したもの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png はんぶん、ずつ
もくじ  3kaku_s_L.png おしらせ
もくじ  3kaku_s_L.png 書き手の御挨拶
もくじ  3kaku_s_L.png 真珠
もくじ  3kaku_s_L.png 酔狂なレビュー
【魔王に抱かれた私……2】へ  【魔王に抱かれた私……3】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【魔王に抱かれた私……2】へ
  • 【魔王に抱かれた私……3】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。