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僕の体をレンタルします―優美香

僕の体をレンタルします……47

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第四十七話・柚希、ダッチを間近に見てみました


 まり菜と帰ると、玄関口にハズが「おかえりなさい」と言いに来てくれた。挨拶をした彼女の視線が、ハズのだらんと垂れ下がった右腕に留まる。
「ハズくん、腕はまだ動かないの?」
 彼女の問いに、ハズは軽く頷く。
「ええ。でも、最近ようやく不便を感じないようになってきました」
「偉いね、そんな風に言えるなんて」
 まり菜の心底から感嘆した声に、彼は左手を顔の前で振った。
「そんなことありません。善臣さんも柚希さんも手伝ってくれるから」
 照れくさそうに笑顔を浮かべるハズは、不具合が発生した直後の頃とまた表情が変わっている。ほんのわずかな期間しか経っていないけれども、彼は彼の器で感情をふくらませて学習しているんだと思った。
「どうしたの? 善臣くん」
「いや、なんでもない。なんとかハズの手が使えるようにしてあげたいなって、改めて思ったんだ」
「ほんとね」
 柚希が帰ってくるまで、まり菜と自室で過ごすことにした。ちょっと狭くなるけど、ハズも呼び入れる。
「おまえさ、『もうすぐ直りそうな気がする』って言ってたけど。そんな兆しみたいのがあるの? あったら知りたいんだけど」
 ハズは少しなにかを考える顔になって、それから俺の目を見た。
「んー、特にこれと言って動くようになって……と言うのでもないんです。本当、なんとなく、なんですけど」
「なんとなく、か」
 思わず頬が緩んだ。よく言えば、ハズにも「勘」のようなものが備わってきたのかもしれない。逆に、巷によくある「子供の突拍子もない発想」の類いなのかもしれない。
 ハズを精魂込めて作った自身から言えば「彼の限界」というのもわかっているわけで、この場合は「子供の空想」ととらえるのが妥当だろう。
 だが俺は、ハズからの言葉と笑顔を見て一瞬で決めた。勘が働いたと解釈しようと。
「なんとなく、じゃだめですかね。やっぱり」
 ハズの屈託のない言い方に、俺とまり菜は顔を見合わせて笑った。
「いや、だめじゃない。逆だよ」
「ほんと、善臣くんって。ハズくんのことになると顔つきが変わっちゃうねえ。いいパパって感じ」
 彼女はそう言って目尻を下げる。ま、なんでも褒められたら悪い気はしない。頭をかきながら壁の時計を見ると、もうすぐ九時になろうとしている。
「柚希が帰ってくるまで、ハズのサイトのメールチェックをしようかなって思うんだけど。そっちはそっちで、手伝ってもらいたいことがあるんだよ」
 ハズとまり菜が頷いてくれたので、押入れの中からノートパソコンを一台引っ張りだして「ダッチくん」の情報をなるべく多く集めてくれるように指示する。
 俺たちが黙々と作業をしはじめて、小一時間ほど経った頃に妹が帰ってきた。襖をガラリと開けて、こちらの顔を見るなりマシンガンのように喋り出す。
「ただいま! おにいちゃん!! ダッチくんってね……!」
「あーわかったから落ち着け、ゆっくり聞くから。まず手を洗え」
「ちぇ、つまんない」
 ちぇ、じゃないだろ。まったく、親の顔が見てみたい。……って、同じ親だというのが情けない。
「区切りもいいから、ちょっと休憩しようか」
 三人で茶の間に移動だ。ほどなくして柚希が、まだ興奮さめやらぬ様子で加わった。よほど話を聞いて欲しかったのかもしれない。
「ダッチくんね。男の人も借りれるのよ」
「それは聞いたよ。体の造り、どうなってんだろって思ってた」
「それがねえ……。借りれる、っていうか使える、という感じ」
 妹は眉間に皺を寄せた。俺たちは自然と息を飲んで柚希に注目してしまう。
「レズの人もレンタルできるように、股間が女性器と男性器の付け替えができるようになってた。わたしたちのところに来たのは、ハズくんと同じような全身、男性のスタイルっていうか。うん、股間の部分は一緒だった。それは確認したよ」
 なぜか彼女は頬を赤らめつつ、話を進めた。
「それでね、ダッチくんのサイトに載せてある写真は、あくまでも女性にレンタルする用なんだよ」
「どういうこと?」
「カツラっぽい……と思う。それに、わたしたちの勘でしかないんだけど……ダッチくんと寝た人の動画をダウンロード販売してると思う」
 まり菜が驚いた声を上げた。
「それって違法じゃないの?」
「違法だよね、やっぱり。わたしたち全員、全部脱がなくてよかったかも」
 俺は少しだけ胸を撫で下ろした。
「どうやってそこまで把握したんだよ?」
「美樹ちゃんが『したことないから、ダッチくんに目隠しプレイをしたい』って言ったら、一緒に来た男の人が一瞬だけど、すっごくイヤな顔をしたんだよね。こんな顔よ?」
 柚希が思いきり顔をしかめて、その表情の真似をする。
「その男の名前は?」
「木下、って言ってたよ」
 初めて聞く名前だ。まり菜を見ると、彼女も心あたりのない名前らしく首を横に振った。妹の柚希は更に目を見開き、俺の顔を見つめた。
「ちょうど美樹ちゃんがね、部屋でダッチくんと目隠しプレイしてる時、綾音ちゃんとわたしが廊下に出てたんだよ。木下さんが、どっかに電話してて喧嘩みたくなってて」
「ふーん」
 俺とまり菜は顔を見合わせてしまう。妹の口調が、ますます興奮してきた。
「女の怒鳴る声で『それだけじゃお金にならないじゃないよ!』って聞こえた。あの人、耳から携帯電話を落としたもん、大きな声だったんだよ? わたしも綾音ちゃんも聞いたもん。だからわたしたち、美樹ちゃんが終わるの待って、逃げて帰ってきたんだよ」
「でも、それだけじゃ有料サイト云々の根拠が弱い。証拠がないと」
「じゃ、証拠をつかんだらいいの?」
 女が興奮している時に水を差すのは好きじゃないんだが、ここは話を落ち着けなければ。
「そういうことだな。とにかく、おまえらの裸がネットに流出なんて、想像しただけで寒気がする」
 まり菜の眉毛が一瞬、吊り上がる。
「善臣くん? まさか柚希ちゃんと……」
「あっ? い、いやまさか。妹とそんなこと。あはは」
 柚希とハズは冷や汗をかく俺を、にやにやと見つめていた。早くこの場から退散しなければ、ドツボにはまるような身の危険を感じる。
「あと二通だけメールの返事を書いたら、まり菜のことを家まで送って行くから。皆で、ゆっくりしといて」
 そう言ってそそくさと茶の間から離れる。改めてハズのサイトに目を通すと、先日メールの返信をした中学の同級生・松岡宏実から連絡が来ていた。
 ――「二週間後の土曜日なら、一日空いています。わたしから、そちらのご指定する場所にお伺いいたします」
 久しぶりに中学の同級生に会えると思うと、胸がはずむ。
 



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