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僕の体をレンタルします―優美香

僕の体をレンタルします……20

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第二十話・善臣、雛川さんとおうちデートします~買い物編



 翌日、薫さんはハズの【ユーザーさまの声】に早速コメントをつけてくれたようだ。
「ハズくんの御蔭で、私たちカップルのセックスは充実したものに変わりました! ハズくんに感謝してます!」
 んな大袈裟な。
 それにしても彼がコメントを入れてくれてからの三日間ほど、問い合わせメールが激増した。俺と妹、それにハズは嬉しい悲鳴をあげることになった。
 しかし、いかんせんハズは一体しかない。俺の体も当然のようだが一個しかない。今後、もしもオファーが平日に入った場合は午後から柚希に手伝ってもらい、レンタル業を稼動すると決めた。もちろん土日は俺がハズと出かける。
 ちょうど、その週に長瀬桃子さんから「もしも今度の日曜日、ハズくんの予定が空いていたら」と受注が入っていた。友達の結婚式に出席したら、ちょっぴり人恋しくなったらしい。
 桃子さんからの頼みなら断る訳にはいかないでしょ。ウキウキしながら桃子さんにメールの返事を出した直後。
「あ」
 思い出した。今度の日曜日は雛川に、ここでカツ丼を作ってもらう約束が入っている。それに、あの子が我が家でハズと鉢合わせするシーンを考えただけで身震いがする。
「柚希、頼むよ。日曜なんだけど俺の代わりに長瀬さんとこ行ってくれない?」
「いいよ」
 一緒に晩飯を食べているとき頼んでみると、妹はあっさりオーケーをくれた。多少は不満を言われるかと思ったんだけど。
「たまたま日曜日は予定がないから、映画でも観に行こうかと思ってたの。だけど、その代わり。後で、おにいちゃんもわたしのお願い事、聞いてくれる?」
「いいよ」
 どうせたいしたことないだろう、そう思って返事をした。
 さて日曜日。
「じゃあ、いってくるね」
「善臣さん、いってきます」
「ああ、頼むよ」
 桃子さんには昨日のうちに、ハズと柚希が行くことを伝えてある。キッチンと部屋の片付けをすれば、準備万端、憂いなし。
 掃除機を家中のすみずみまでかけていたら、雛川を迎えに行く約束をしていた午前十一時になっていた。洗面所の鏡を見て髪型を整えてから外に出る。
 てくてく歩いて大通りに出ると、目印にしている大型スーパーがある。正面入り口で待ってくれるように頼んでいたのだ。
 晴れた日曜のスーパーの入り口は案の定、混んでいた。隣接している駐車場からは様々な人たちが車から降りてやってくる。
 その中で、ごくありふれたひとつの家族に目がとまった。
 俺と同じくらいの年齢に見える赤のチュニックを着た女の人が、陽射しをまぶしそうに顔をしかめる赤ちゃんを胸元に抱きしめている。その隣には幾分年上に見える男性がいた。彼は赤と深い緑のチェックのシャツを着ている。ベビーカーを広げながら、妻らしき彼女と赤ちゃんを目を細めて見つめていた。
「いいなあ、あれ」
 ぼそっとつぶやいた時、横から雛川の声が聞こえた。
「なにがいいの?」
「えっ、あ、なんでもないよ。おはよう」
「おはよ、沢井くん」
 彼女は、真っ白い歯をにっと出した。今日は薄く化粧をしている。グレーのワンピースに七分丈のスパッツがよく似合う。肩に大きなキャンパス地のバッグを提げていた。いつも学校に持ってくるものだ。
「沢井くんが、ああいう若夫婦に興味を示すなんて意外ね」
「そうかな。興味っていうかさ、ほのぼのするだろ」
「そうねえ」
 会話を交わしながら二人でスーパーの中に入る。
 雛川はカツ丼の他にも、なにか作ってくれるつもりらしい。
「ねえ、沢井くん」
「なあに」
「赤だしのお味噌汁って、好き?」
 彼女はごく普通に尋ねたのだろう、パックの豆腐の賞味期限を見つめながら言った。
 だからこっちも普通に返す。
「うん、好き好き」
 雛川はその言葉を最後まで聞き取った。それから俺の目をまっすぐに見て、微笑んだ。
「じゃあ作るね」
 その笑顔を見た瞬間、心臓の辺りがずきん……と鳴る。こいつ、こんなに可愛かったっけ? 気持ちが言葉になった途端、かっと頭に血がのぼった。
「どうしたの沢井くん、具合悪いの?」
「いや、そうじゃない」
「ほんと?」
 彼女が俺の顔を心配そうに覗き込む。こっちは全身が心臓になったかと思うくらい、どきどきしてる。なにか言ってごまかそう。
「うん、大丈夫。早く家に行ってメシ作って。腹減った」
「うん!」
 ホントに雛川さん……あなたってどんくさいですね。
 というか最初から俺は恋愛対象には入っていない、つまり「アウト・オブ・眼中」ということか。歩いている道々、ちょっと切なくなってきた。
 改めて考えてみると「メシ作って」という約束はしたけど、作り終わったらどうする……ということは、なにも決めていない。茶の間で卓袱台を挟んで勉強でもすればいいのか?
 並んで歩いている二人に、ほんのわずか沈黙が訪れた。もうすぐ我が家が見えてくる頃。
 俺は顔を上げた。 
「なあ雛川」
「なに?」
「きょ、今日。何時ごろまで大丈夫なんだ?」
「なにか用事あるの? あるなら早目に帰るよ」
 ……そうじゃねーよ! 咳払いをして、雛川の顔を見ながら玄関の扉を開ける。
「違う、その逆」
 彼女が不思議そうに目を見開き、こちらを見つめ返した。なにも言わずに雛川に「入って」と、目線でうながす。
 ぱたん、と音を立てて重たい鉄の扉が閉まる。
「今日は、俺が雛川に合わせてあげたいんだ」
 雛川の顔がほころぶ。
「すごく、うれしい」
「俺も」
 俺は我慢できずに彼女を抱きしめていた。


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