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零―中邑あつし

零……8

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 八・出会い


 夕暮れの街は、相も変わらずざわついていた。路肩でバラバラの制服を来た輩が、一人の男に対し非道な暴行を加えている。皆、そこを通る誰もが、見て見ぬふりを決め込んでいた。
 ……もう、どうでもいい……。
 数時間前の柚木なら血相を変えていたのだろうが、言ってしまえば、今の柚木は、抜け殻以外何者でもなかった。だが、いくら何も考えられない状況でも、経過する時間は、ドロドロとした思考を頭に流れこませる。ぶつけようのない怒り、憎悪が柚木の頭を支配していく。

『太ちゃんはね、今、いろんなことがあって、周りが上手く視れてないと思うの』

 ……こんな時まで、お前は俺ん中に入ってくんのか。まったくだ。いろんなことが在りすぎた。もう、何も視えなくなっちまった。
 自分の周りで忌々しい事ばかりが起こる。寺田にしても、借金にしても、それに共通していることは……、金、金、金。金がどこまでも絡み付く。金が憎い。金に翻弄される人の心が憎い。甲斐も、金のせいなのだろうか……。
 イラつく。      死。
 ムカつく。  憎い。  腐っている。
 吐き気がする。  金。  裏切り。  金。 金。  憎い。
 憎い。憎い。憎い憎いニクイ憎いニクいニクイニクイニクニクニクニク………………。
 憎悪に取り付かれた柚木の肩に人がぶつかった。
「おい!」
 ぶつかった男は足元しか見ておらず、脇目も振らず過ぎ去ろうとする。男は、猫背のガリガリで、見るからに陰気な空気を背中越しに漂わせていた。夏休みだというのに制服を着ている。大滝高の制服。
「おい! シカトしてんじゃねぇよ!」
「へ?」
 ゴッ! 柚木は男の振り向き様に側頭部を殴り付けた。いつもなら見向きもしない柚木も、ドロドロと畝ねる憎悪が抑えられず、その怒りを拳に乗せ、肩をぶつけた男に振りかざしたのだ。もう、感情も、行動も、自分で制御すら出来なかった。
 男は尻餅を付き、側頭部を抑え俯いたまま動かない。
「面ぁ、上げろよ。テメェは今、俺にぶつかってんだよ。何か言う事があるだろ」
 男は言われると、柚木の顔を見上げた。
 驚いた。なんて顔をしているのだ。自分も先程まで絶望の淵のような顔をしていたのだろう。だが、この男の顔は、それとはまた違う次元の絶望を顔に淀ませている。
 ……目が、死んでやがる。
 その視線は、柚木のことを見上げ、彼をその視線に捉えてはいるのは確かだ。だが、全く自分を見ていないのだ。身体だけこの世に置いてきたのではないかと思わせるほど、その男の目には、生気が全く感じとれなかった。虫酸が走る。
「すいません」
 男は力なく頭(こうべ)を垂れた。
「俺はなぁ、テメェみてぇな、世の中の不幸、全部背負ってます。
 テメェだけが世界で一番不幸みたいな面してる奴が、一番ムカつくんだよ」
 柚木は男の胸ぐらを掴み上げ、やり場のなかった怒りを男に吐きつける。
「すいまっ」
 バキッ!
 男が謝りきる前に柚木の拳が振り抜かれる。
「そうやって謝ったら、皆許してくれんのか? ずっと、そうやって生きてきたんだろ。テメェ」
 柚木はそう言うと、男を薙ぎ倒し、馬乗りになって続け様に罵声を浴びせかける。
「何か言えよ! テメェ自信じゃ何もせず、いつも人のせいにして逃げてんだろ? なんで俺ばっかりこんな目に遭うんだってな!」
 初めて会う男。柚木がその男のことを知る由はない。ただ、この男の目がそう言っているようで気に喰わなかった。
 これだけ痛めつけても、顔一つ歪ませないのだ。相変わらず、その視線の先の柚木を見てはいない。明らかに、目が合っているはずだというのに。人間、何が遭ったらこんな顔になれるのだろうか。柚木は、この男に対し不気味な恐怖を感じ始めていた。
「何か喋れっつってんだろが!」
 バキ! ゴス! バキ! バキ!
 柚木の拳が何発も男の顔面に降り下ろされる。止まらない。柚木自信も自分の拳を止められずにいた。怒りが治まらない。殴っても殴っても、寺田や甲斐、ヤクザ、金、形のない憎悪が溢れだす。
 振り下ろす拳が痛い。拳に付いた血は、男のものかも、柚木自身のものなのかも判らない。ただ、鈍い音と共に、鮮血が柚木の顔にまで跳んでくる。
 バキ! バキ! ゴッ! バキ!
「チ…ゥ…」
 男が何かを呟いた。
 ガッ!
 瞬間、何が起きたか判らなかった。柚木の蟀谷(こめかみ)からはボタボタと血が滴り落ちていた。ガッ!
 また、蟀谷に激痛が走る。
 ガッ! ガッ! 
 男は、同じ場所を何度もナニカで撃ち付ける。目眩がする。その激痛が現状を把握させない。
 男の手には、シャープペンらしき物がある。らしき物。男の手にあるそれは、柚木の蟀谷への数撃のうちに折れたのか、原型を留めていなかった。
 柚木は、蟀谷への四度に渡る衝撃で男から仰け反っていた。
「テメェ、調子に…」
 ガッ!
 柚木が喋りきる前に、また蟀谷に一撃が入る。
 狙っているのか、男は蟀谷ばかりに折れたシャープペンを打ち下ろすのだ。蟀谷からは、傷口が開きドクドクと血が流れ出す。
 いつの間にか、今度は男がマウントをとっていた。
 柚木は無意識に傷口と両目を両腕で庇う。
 ガッ! ガッ! ガッ!
 男は構わず、空いたスペースに折れたシャープペンを撃ち降ろす。
 鮮血が飛び散る。撃ち付けられた場所に新たな痛みが増していく。と、男の攻撃に一瞬の間が空いた。
 その間の正体は、次の一撃で嫌が応にも思い知らされるのだ。
 ゴッ!
「ゥアッ!」
 鈍い音が頭の中から聞こえた。もう、激痛とか、そういった次元を超えている。その一撃で、柚木は今、初めて自分が死に直面にしていることに気付かされたのだ。
 ……殺される。
 柚木に恐怖が走る。目を庇っている右腕をずらし、掌を目元まで持って来る。そして、少しの指の隙間から男を覗き込んだ。
 男の右手には、握り拳程の石が握られていた。あの時、一瞬の間の正体はこの石に他ならなかった。
 ゾクッ。
 背筋が凍りつく。身体は知らずに震え出す。一瞬の内に、足元から首元までの全身の毛が逆立つ感覚が柚木を襲う。男が石を持っていたからではない。この男の目が、こんな状況にも関わらず、相変わらず死んでいるのだ……。
 そう、全くの無表情で、握り拳程の石を振り上げている。その無表情の顔は、数発もの柚木の拳により、歪に腫れ上がり、そして、柚木自身の返り血を纏い、顎先から血を垂らし、死んだ目で自分を見つめていた。今までこの男は、自分を見てなどいなかった。だが、改めて死んだ目で見つめられると、それが、これ程の恐怖を生み出すとは想像だに出来なかった。明らかに、この男は柚木を殺しにかかっている。人が人を殺そうとする時、こんなにも無表情でいられるものなのか。
 ……何なんだ、コイツは……。
 柚木が人に対して、これ程の恐怖を感じたことがあっただろうか。もう、柚木はその男を人としてすら認知していなかった。
 ……化け物だ。人なんかじゃない。
 男の放つ一撃一撃には、全く感情が感じられなかった。人が人に手をあげる時、人は必ずその感情を拳に乗せてくる。憎しみや、悲しみ、怒り、愛情さえ感じる事もある。それは、相手が武器を持っていたとしても例外ではない。だが、この男にはそれが全く感じられないのだ。目の前にいるこの化け物は、一体何者なのだろう。自分が撒いた種だった。因果応報。憎悪の対象に、苛立ちをこの男にぶつけた。だが、今は、逆に自分が死に直面させられている。この男が寺田だというのだろうか。この男が誰であれ、自分のこの窮状は変わらないのだ。怖い。コワイ……。
 まるで、自分のものじゃないかの様に、意思に反して足が震える。ゴッ!
 返り血を浴びた石が、恐怖に怯える柚木の頭に振り降ろされる。 ゴッ!
 今となれば、男は庇っている腕の隙間を狙うことなく、腕に、手に石を振り降ろす。 ゴッ!
 柚木の手の指々は、在らぬ方向に折れ曲がり、腕には赤黒い斑点が散りばめられている。ゴッ! グシャ!
 自分に対して死が目の前に迫る。 ゴッ!
 想像していたよりずっと怖い。 ゴッ!
 ……痛い。怖い。怖い。助けてくれ。タスケテ……。
 ゴッ! ゴッ!
 意識が朦朧としている。恐怖が痛みと共に柚木を支配する。
 ……殺される。コロサレル。怖い。死。コワイ、コワい……。タスケテ……。   
 …………すまねぇ……、チサ……。

 『太ちゃんは、いなくならないよね?』








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